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歯石とり、、、?

 「歯石とり」って言いますね。「歯石をとりたい」とおっしゃる方もいます。

 歯には歯石が付いてくるものですし、歯周病治療として歯石はとることはもちろん大切な事ではあるのですが、そもそもなぜ歯石をとるのでしょうか。歯石をとると何がいいことがあるのでしょうか。歯石をとる意味を考えてみましょう。

 まずは歯石について。歯石には多く分けて2種類あります。「歯肉縁上歯石」と「歯肉縁下歯石」です。歯肉縁とは歯肉のふち、つまり歯を見た時の歯と歯肉の境目のことです。そこより上、つまり目で見て見える位置にあるのが歯肉縁上歯石です。歯肉縁より下、つまり歯と歯肉の病的な隙間=歯周ポケットの中の歯根面についていて、歯を目で見ても歯肉に隠され見えない位置にあるのが歯肉縁下歯石です。

 歯周病を考えた時、歯肉縁上歯石はそもそも歯肉と離れているのであまり関係がありません。多少歯みがき(細菌除去)がしづらいとか歯肉に触れている部分でやや炎症が起こりやすい事はあるかもしれませんが。

 一方、歯肉縁下歯石は歯肉に覆われ表面のザラザラが直接触れているので、歯肉に炎症を起こしやすい面はあるでしょう。また歯周ポケット内で形成されるので血液由来の鉄分などが取り込まれ、色は黒色です。歯肉縁上歯石はたいてい白いので見た目も毒々しいですね。歯肉が下がって黒い歯肉縁下歯石が見えてきたら「歯周病ヤバいぞ」の1つのサインです。

 でも考えてみましょう。歯周ポケット内で形成されるということは歯周病が進んだ後にできているわけですから、歯石は歯周病の原因ではないのは明らかです。つまり「歯石とり」をしていても歯周病を防ぐことはできません。歯周病の原因についてはHP本文をご覧ください。

 歯石が、特に歯肉縁下にあると歯周病が良くなる妨げにはなるので、歯石除去は歯周病治療上重要な治療の一部ではあります。つまり歯石除去は歯周病を改善させるためのOne stepに過ぎないのです。「歯石とり」をやっても病状が良くなっているかを確認しないと治療した意味がありません。「歯石とり」が目的ならば、とりっぱなしでいいのでしょうが。

 皆さんは、歯石をとりたいのですか?それとも、歯を失わないようにしたいですか?